皆さんは「プラントベース」という言葉を耳にしたことはありますか?ここ数年で目にしたり、聞くことが増えたように思います。最近ではベジタリアンやヴィーガンでなくとも、体に良いものを摂りたい、環境に配慮した素材・食事をしたいという理由からプラントベースを選ぶ方もいらっしゃいます。スーパーマーケットやファストフード店でも見かける機会が多々ありますので、ご紹介します。
〜プラントベースとは?〜
プラントベースとは植物由来の食品を指します。Plant(植物)とBased(由来)を組合わせて作られた言葉で、厳密に定義が決まっているわけではありません。代表的なものは大豆ミートや豆乳、アーモンドミルク等が挙げられます。最近では、植物性の卵液や卵の代替食品も出ています。
〜ベジタリアン、ヴィーガンとの違い〜
一般的に、ベジタリアン(菜食主義者)は肉類や魚介類等、動物性食品を口にしない人を指します。卵や乳製品等を召し上がる人も含めて、ベジタリアンと呼ぶこともあります(植物性食品と乳製品は食べるラクト・ベジタリアン、植物性食品と乳製品、卵は食べるラクト・オボ・ベジタリアンなどカテゴリー分けされています)。一方、ヴィーガンは、完全菜食主義者を指し、卵や乳製品、はちみつ等も口にしません。
〜なぜプラントベースが注目される?〜
プラントベースが注目される理由や背景は複数あると思いますが、ここでは代表的なものを3点ご紹介します。
1つは地球温暖化対策や環境配慮が挙げられます。日本の農林水産分野の温室効果ガス排出量は2019年度で約4,750万トン、うち約46%が牛のゲップなど家畜の消化管内発酵によるメタン、約20%が家畜の排泄物等による亜酸化窒素です。また、家畜を食肉として育てるまでの間に多くの水が消費されています。これは、飲料用も含みますが、飼料となる穀物を生産するために使われる水が多く、1kgの牛肉を生産するには約20,000倍の水が必要(バーチャル・ウォーター)と言われています。
2つめに食料不足問題が挙げられます。2021年総務省統計局の「世界の統計」によると、2050年には世界人口が97億人を超えると推計されています。世界的に人口が増えると、穀物や肉類等の消費も増加し、地球温暖化による自然災害に起因する農作物不足等、食糧不足が起きる懸念があります。近年、昆虫食も注目されつつありますが、動物性タンパク質以外へシフトすることも必要性が高まりそうです。
3つめに健康志向の高まりが挙げられます。特にコロナ禍でテレワークや旅行・移動の制限等、自宅で過ごす時間が増え、ジョギングや運動をする方が増えたり、食生活を見直す方も出ています。また、SDGsネイティブのミレニアム・Z世代は社会課題を自分ごとと捉え、サステイナブルな選択をすることも多く、楽しみながらプラントベースを生活に取り入れているように感じます。
〜実は身近に溢れているプラントベース〜
スーパーマーケットでは、大豆ミートを見かけることが増えましたし、カゴメではカレーやパスタソース等のレトルト食品を複数出しています。モスバーガーでは大豆パティを使用したバーガーや動物性食材を使用しないグリーンバーガーを、一風堂では豆乳やポルチーニ茸の出汁等を使ったラーメン、IKEAではエンドウ豆タンパク質やオーツ麦等を使用したプラントボール(ミートボールの代替)やソフトクリームを出しています。今まで以上に選択肢が増え、言われなければ植物由来であることを気づかない程、品質も向上しているように感じます。
胡麻和えやきんぴらごぼう等、家庭料理にもプラントベースのものが多くありますし、健康志向で玄米・雑穀米を召し上がる方もいらっしゃいます。簡単に取り入れられることから始め、美味しく、健康的に、SDGsにも貢献できると良いなと思います。
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