<海外事例>“食”で高まるプランナーのニーズ

 食の分野で「サステイナビリティ」と聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?地産地消やフードロスでしょうか? IACC (International Association of Conference Centers) の2020年レポートによると、主催者やミーティングプランナーから受ける食に関する要望が増えたと感じている会場が95%、可能な限り地産地消の料理や飲物を提供している会場が同じく95%、健康的な食生活や活動的に過ごすことは重要で、食に反映されると考えている会場が92%と高い割合を示しています。

 同レポートで、今よりも将来的に重要となる会場の要素が何かを尋ねた質問では、飲食に関するサービススタイルや見せ方・質と答えた方が72%と2番目に高くなっています。一般旅行においても食に関する期待値や満足度を左右する割合は高く、MICE業界においても同様なのだと考えられます。

 また、U.S. Organic Trade Associationが発表した「2020 Organic Industry Survey」によると、消費者はこれまで以上にオーガニック食品を食べ、オーガニック製品を使用するようになっています。食品の加工や調達に透明性を求める傾向は明らかで、ミーティング参加者の嗜好にも反映されています。
 一方、会場運営者の67%が地産地消や有機栽培の食材を提供することに対して、高コストを実感しており、顧客にコスト転嫁をしていない割合が58%も占めています。確かに、世界のどこに住んでいるのかによって地元産の食材が種類豊富になる時期も変わりますし、例えば雪の降るエリアであれば、その期間に地元の野菜やフルーツ等を手に入れるのは難しくなります。そして、安定的に収穫できる時期か否か、クオリティによってもコストは変わります。とはいえ、ニーズがある以上、対応せざるを得ないのが現状です。海外では、季節に左右されにくい加工品や肉類、飲料等の地元産品を多数探し、年間を通じてアピールできるよう心がけているようです。

 弊社でも、地元食材の利用や地域ならではの料理、ビーガン対応のリクエストを受けることが多くあります。北海道のニセコエリアで行った、企業のプロジェクト発表イベントでのBBQランチパーティーをここで少しご紹介したいと思います。時期は10月下旬だったため、人参やジャガイモ等の根菜類はありますが、葉物野菜となると夏場に比べて量が減り、地元産に拘った際の飲食コストが上ることを主催者との打合せで了承いただきました。シェフとミーティングを重ねながら提供した料理の一部がこちら。約95%の食材・飲料は道産で対応することができました。これは食料自給率も高い北海道だからこそできたことかもしれませんが、満足度が高いと食べ残しも少なくなり、フードロスもほぼゼロという状況でした。

 IACCでは、飼育にかかる水資源やエネルギー、排出されるメタンガス等コストや環境負荷が比較的大きい食肉よりも植物由来のものが多い料理や、旬の野菜・果物を使った料理、地産地消による開催地のアピール、マーケットや料理教室等エンターテイメント性を持たせた食を提唱しています。
 地元食材を手に入れにくい時期やコスト面でクリアすべき点もありますが、ニーズ・期待値ともに高い分野だけに、様々な選択肢が求められそうです。

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