<専門用語>バーチャル・ウォーターとは?


バーチャル・ウォーターとは、食料を輸入している国において、もしその輸入食料を自国で生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものです。ロンドン大学東洋アフリカ学科名誉教授のアンソニー・アラン氏により提唱された概念です。

環境省によると、例えば1kg のトウモロコシを生産するには、灌漑用水として1,800 リットルの水が必要であり、牛はこうした穀物を大量に消費しながら育つため、牛肉1kg を生産するためにその約20,000 倍もの水が必要です。つまり、日本は海外から食料を輸入することによって、その生産に必要な分だけ自国の水を使わずに済んでおり、食料の輸入は、形を変えて水を輸入していることと考えることができます。

イメージ写真です。本文と関連はございません


農林水産省が公表している令和2年度の日本の食料自給率はカロリーベースで37%。多くの食料を輸入に頼っており、自ずと相当量のバーチャル・ウォーターを輸入していると言えます。2019年の数値になりますが、日本におけるバーチャル・ウォーターの割合は77%と世界の主要国と比較しても非常に高く、日本人1人当たりのバーチャル・ウォーターは100万リットルです。

出典:世界水の日報告書2019


バーチャル・ウォーターが問題とされるのは、水不足であるにも関わらず、輸出によって水不足が加速している国があり、輸入によって他国の水問題を悪化させる可能性があるためです。主なバーチャール・ウォーターの輸出国として、中国やインド、パキスタン、ブラジル、アルゼンチン、オーストラリアが挙げられます。本来、水資源が豊かな国から輸出され、水不足が起きている国へ輸入するバランスが取れることが理想ではありますが、水不足の国も自国の経済や自身の生活を成り立たせるため輸出せざるを得ず、水不足が深刻化していることも現状です。

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環境省のウェブサイトでは、どの位のバーチャルウォーターを要するかが簡単に計算できる「仮想水計算機」が公開されています。
解決が難しい問題でもありますが、まずは身の回りの食品を日本で生産した場合にどの程度の水を要するか、把握・意識することから始めませんか?

世界水の日報告書2019:https://www.wateraid.org/jp/sites/g/files/jkxoof266/files/2019beneath-the-surface.pdf

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