<専門用語>SDGs経営とは?求められる理由

SDGs経営とは、自社の事業に社会の課題解決を取入れ、ビジネス・経済発展と社会課題解決を両立させる持続可能な取組みです。企業の経済的な成長のみを目指すのではなく、環境やエネルギー問題、公正な労働環境・平等といった人権問題等、SDGsで掲げられる目標の達成に企業の参画が求められるようになり、事業発展することで社会課題解決に貢献することを目指します。

〜なぜSDGs経営が求められるのか、3つの理由〜

2021年10月30日に公開した、「GX グリーントランスフォーメーションとは」の解説記事でも触れていますが、SDGs経営が求められる理由として、1つにESG投資が挙げられます。これは、気候変動が企業経営に与える損失に危機感を抱いた金融機関が投資先に対する気候変動対策・情報開示を求めるようになりました。そして、財務指標だけを重視するのではなく、「環境(Environment)」、「社会(Social)」、「ガバナンス(Governance)」の3つの要素を評価する傾向が欧米を中心に浸透し、この傾向は拡大傾向にあります。現在、世界全体の投資額の3割程度、日本の運用資産全体でも約24%がESG投資となっており、今後SDGs経営に取組まない企業は、世界市場において資金調達が困難になる恐れが出てきました。
2つめに、Z世代のエンゲージメントが挙げられます。Z世代は、明確な定義はありませんが、一般的に1996年から2010年頃にかけて誕生した世代を指し、インターネットが身近であることに加え、スマートフォンやSNS等のコミュニケーションツール・機会が溢れる環境で育っています。学校教育でも環境問題や、中には国際開発・協力についても学習しており、デジタルツールや技術を用い、世界中の膨大な情報や多様な価値観にアクセスし自身の価値観を大切にしているように思います。そんなZ世代は社会課題やSDGsへの関心も高く、企業の取組みや理念をしっかり見ています。そのため、 SDGs経営へ取組まない企業は自社の商品やサービスを選択してもらえなくなる可能性があるばかりか、新規採用においても優秀な若手人材の獲得が難しくなる可能性もあるのです。

3つめにビジネスチャンスになる可能性があるためです。近年、自然災害や紛争、コロナ禍等をリアルタイムで体験し、世界的にも持続可能であることや社会課題の解決をより自分ごとに、また、より良い選択を意識する人は世界的にも増加傾向にあります。このような状況で、2つめでも触れましたが、SDGsに取組む企業はその取組みや理念に共感する消費者から選ばれる可能性があること、SDGsに取組む企業が増える中で顧客が求める基準に合致していないとサプライチェーンから外されてしまう可能性があるということです。言い換えれば、SDGs経営を取入れることでビジネスチャンスになり、逆に取入れないことがリスクになると言えます。

〜SDGs経営を進める5つのステップ〜

SDGs経営の導入を進める企業の多くが参考にしているのが、「SDGコンパス」です。国際的なNGOのGRI(Global Reporting Initiative)、国連グローバル・コンパクト、WBCSD(World Business Council for Sustainable Development)の3団体が共同で2016年3月にSDGs導入における企業の行動指針として作成しました。日本語版は、GCNJ(グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン)とIGES(公益財団法人地球環境戦略研究機関)で翻訳しています。

SDGコンパスは、SDGsを導入するための5つのステップが記載されており、企業がどのようにSDGsに取組むべきか指針が示されています。

1. SDGsを理解する
2. 優先課題を決定する
3. 目標を設定する
4. 経営へ統合する
5. 報告とコミュニケーションを行う

SDGコンパスは全30ページの冊子で、無料でウェブサイトにて公開されています。
SDGコンパス:https://sdgcompass.org/wp-content/uploads/2016/04/SDG_Compass_Japanese.pdf

出典:SDGコンパス ウェブサイト


〜自社でもSDGs経営にチャレンジを〜

SDGコンパスは大規模なグローバル企業に焦点を当て開発されていますが、中小企業であっても参考になる点が多々あります。上記5つのステップを踏み、SDGsの取組みを自社事業へ落とし込むことは容易とは言えません。SDGsに取組む企業が増えたために、実態が伴わないのにSDGsに取り組んでいるように見せかけることを指す「SDGsウォッシュ」という言葉も耳にするようになりましたが、あまり難しく考えすぎずに、まずは第一歩を踏み出すことが大切なのではないかとも感じます。自社の良い面だけを切り取り、都合の良い見せ方をすることは、本来目指すべきこととは異なりますが、アクションすること、そして少しずつSDGsの取組みを整備・拡大し参画する企業が増えることが重要だと思います。一見ハードルが高そうに見えるかもしれませんが、自社の事業がSDGsにリンクする要素がないか、検討から始めてみませんか?

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