<専門用語>ウォーターフットプリント〜私たちの暮らしとの関わり〜

ウォーターフットプリントとは、商品やサービスを生産・製造・消費・廃棄・リサイクルする過程で使用された水の総量を測る概念・手法です。環境への影響の大きさは、m3で表します。
「カーボンフットプリント」と比べ、あまり耳にしたことのない言葉かもしれませんが、ウォーターフットプリントが私たちの日常生活にどのように関わり、何気ない行動によって負荷を増大させていないか、見ていきましょう。

出典:Water Footprint Networkウェブサイトより


〜ウォーターフットプリントには種類がある〜

オランダで設立されたWater Footprint Networkでは、ウォーターフットプリントを3種類に分類しています。

グリーンウォーター:農産物や園芸・林業製品等が土壌に蓄えられ、作物に取込まれ、蒸発、蒸散された雨水の量。

ブルーウォーター:農産物等が取込み、蒸発、消費した地表水や地下水の量。取水地点に戻らなかった水を含む。灌漑用水や産業、家庭での利用に関連する。

グレーウォーター:農産物等の生産時に使用された肥料・農薬、家庭排水等により汚染された水を、一定の環境水質基準未満とするために希釈に必要となる水の量。廃水。

出典:Water Footprint Networkウェブサイトより弊社にて翻訳


〜バーチャルウォーターとの違いは?〜

バーチャルウォーターとは、食料を輸入している国において、もしその輸入食料を自国で生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものです。詳細は2022年3月25日公開の記事をご覧ください。
ウォーターフットプリントは先述のとおり、商品やサービスの生産・消費・廃棄までの水の使用量ですが、どのように水資源に依存しているかの理解や、汚染・水の枯渇といったリスク評価にも活用できます。また、輸入・消費している製品が水環境にどのような負荷を与えているかを把握することも可能になります。

〜日常生活との関わり〜

WWF Japanによると、日本のウォーターフットプリントを計算すると、畜産とテキスタイル(繊維)が大きな割合を占めたそうです。テキスタイルは、原材料である綿花、羊毛、絹等を育てる生産段階、繊維の脱色や生地へのプリント等加工段階で多くの水が使用されるためです。
日本が2018年に輸入した綿、羊毛、絹、人造・合成繊維、衣類及び衣類付属品(綿、羊毛、人造・合成繊維)の生産に伴うグリーンウォーターとブルーウォーターの合計は、5,384百万m3。繊維別で見ると、綿のウォーターフットプリントが圧倒的に大きく、生産段階のステージ別では、原材料である綿花の生産段階で生じたウォーターフットプリントが大半を占めています。
さらに国別では、インドでの生産によるウォーターフットプリントが最大です。こうした国々での水資源の過剰な利用や水環境の破壊は、生物多様性はもちろん、地域の暮らしや衛生、防災等にも深刻な影響を及ぼす可能性が考えられます。例えば、何気なくTシャツを購入した場合にも、その背景にはこのような環境・生産に関わる地域への影響があるのです。

出典:WWF Japanウェブサイト
「日本が世界の水環境に及ぼす影響を明らかにする『ウォーターフットプリント』」より
出典:WWF Japanウェブサイト
「日本が世界の水環境に及ぼす影響を明らかにする『ウォーターフットプリント』」より


〜私たちにできること〜

様々なものを輸入に頼る日本では、大きなウォーターフットプリントが発生しています。国民生活センターによると、日本における2017年度の衣料廃棄物は147万トン。うちリサイクルされているのは約20%で、大半は焼却・埋立て処分されています。簡単な解決策・削減方法はありませんが、購入前に「本当に必要かな?」と今一度考える、ウォーターフットプリントの小さな食品を選ぶ(例えば、週1回は野菜デーにするというのも一案です)、廃棄物を減らしお気に入りのアイテムを長く使う等、個々人ができる小さなことを積み重ねることも必要だと思います。

イメージ写真です。本文と関連はございません

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