<海外情報>気候の危機で失われた出来事とは何か?イベント冒頭での声明で認識を高めよう

 北米の一部では、イベントのオープニングスピーチで、先住民族の土地の権利を認める習慣が広まっています。世界中のビジネスイベントで、気候変動の緊急事態を認識する同様の方針を導入する時期に来ているのではないでしょうか?

 イベント業界では、長い間、気候変動について議論されてきました。PCMAのConvening Leaders 2022で、「これからの最大の問題は気候変動だ」とPCMA CEO Sherrif Karamat氏は述べています。実際に、気候の危機は私たちの前にあるのではありません。私たちはその渦中にあり、分別ある科学者であれば、私たちがそれを止められるとは言いません。そのため、私たちは気候変動を可能な限り抑制することが急務となっています。しかしながら、残念なことに、このメッセージは十分に響いているとは言えません。

 Land Acknowledgement(領土の承認)とは、ある組織が活動する場所やイベントが行われる場所の先住民に敬意を示す、口頭または書面による声明です。北米、オーストラリア、ニュージーランドでは、イベントのオープニングセレモニーでよく読み上げられています。

イメージ写真です。本文と関連はございません。


 Land Acknowledgement(領土の承認)は、その声明を受けたコミュニティに正義をもたらすものではなく、美徳の象徴とみなす人もいるかもしれませんが、意味のあることです。では、なぜイベントや会議の前に「気候変動への声明」を述べることができないのでしょうか?

 気候変動への声明は、次のようなものです。

 「気候の危機は、今この時代の最も差し迫った課題であることを認めます。私たちがイベントを開催している時間は、生態系を破壊し、現在の時代と未来に飢饉や戦争を引き起こしている、前例のない、人為的な、地球気候の変化を示しています。私たちはこの非常事態を認識し、受けたダメージを軽減し、さらなるダメージを減らしていかなければなりません。私たちは、ポジティブな影響を与える力を持っており、この力を行使します。」

 しかし、このような冒頭の声明は意味があるのでしょうか、そして何か良い影響を与えるのでしょうか?

 ルクセンブルク最大の環境団体であるnatur&ëmweltの政治担当である気候コミュニケーション研究者 Selma Weber氏は、この点について幅広く研究しています。Weber氏によれば、誰かがそのような発言をする場を見る効果は、それを聞いた観客・参加者に永続的な影響を与えるそうです。

 他人が公の場で声明を読み上げるのを聞くと、約束を守る可能性が高くなるという研究結果が出ています。この効果は、面子を失うことへの恐怖に根ざしており、自己のコミットメントに使われるのと同様の巧妙なメカニズムです。声に出して言うことで実現可能性が高まり、書き留めることでさらに大きな効果が期待できるとのことです。

 このような発言の効果を高めるには、それをカスタマイズして個人的なメモを加えることが有効だとWeberは付け加えています。この個人的なメモが、聴衆全員の同意が得られるような定量的な行動とリンクしていれば、そのような発言は行動を喚起する可能性が高くなるのだそうです。さらに、開催地が、特に気候危機によってどのような影響を受けているのか、あるいはこれから受けるのかについて言及することも有効なようです。

 また、多くの声明と同様に、聴衆に力を与えてくれる建設的な(あるいは根拠のある)希望に満ちた前向きな言葉で締めくくることの有効性も研究により示されています。気候の危機を止める方法はありませんが、私たちが迅速に行動すれば、その結果をコントロールすることは可能なのです。

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 気候変動の危機を伝えるメッセージを強化するため、Clear Current Consulting代表のShawna McKinley氏は、イベント主催者に、イベントの環境への影響に関する詳細を参加者に提供するよう勧めています。この透明性によって、参加者は自分の出席が気候危機をどれだけ助長するのか、あるいはしないのかを知ることができます。

 イベントが環境に与える影響についての認識を高めても、イベント業界にとってその対応を見直すことが急務であることに変わりはありません。むしろ、イベント業界は、より小さく、より効率的に、より分散して考え、移動を少なくすることのメリットを理解すべきです。

 イベント主催者は、明確な気候変動コミ​​ュニケーション(人為的気候変動の原因、性質、および影響に焦点を当てた環境コミュニケーションおよび科学コミュニケーション)を持つべきですが、参加者に責任を負わせるべきではなく、業界全体の変革には、政府や他業界との協力が必要であると思われます。

 過去200年間に人類が地球に与えた壊滅的な影響を軽減するための分散型努力の中で、イベントの冒頭で気候の危機を認識することは位置づけられるものです。もちろん、行動は言葉よりも雄弁ですが、言葉は行動になり得ます。次回のイベントやミーティングでは、気候変動への危機感を伝えてみてはいかがでしょうか。

出典:MPI NEWS BRIEF January 12, 2022

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