Caesars Entertainmentグループに所属するシェフが、飲食店のトレンドやパンデミックがメニューに与える影響、美味しくて忘れられない体験を創り出すことの重要性について、独自の見解を披露していましたのでご紹介します。
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〜現在、あるいは今後の飲食トレンドで、最も注目しているものは何ですか?〜
Harrah’s Waterfront Conference Centerのバンケット担当シェフ、Louis Heckel氏はこう述べています。「食事制限への対応は私たちの仕事の大半を占めています。植物性由来の食材トレンドは、私たちにとってエキサイティングなことです。私たちは、地元の旬の食材とさまざまな穀物を組合わせ、グルテンフリーやビーガンのヘルシーなメニューを考案しています。これらの料理は見た目も香りもとても良いので、特定の食事制限をしていないお客様にもリクエストしていただけることがよくあります。特に気に入っているのは、ジャージー産の新鮮な季節の野菜や果物をさまざまなメニューと組合わせることです。軽くてフレッシュ、そしてクリーミーでマイルドな甘さが、次のコースへの期待感を高めてくれます」。
CAESARS FORUM、調理オペレーションアシスタントディレクター Leticia Nunez氏は、「クリーンフード、オーガニック、サステイナビリティ。最高のケアで素材の良さを保ち、既成概念にとらわれない有機野菜、食用植物、珍しい水耕栽培や在来品種を使ったプレートプレゼンテーションなど、料理チームとして創造できることは限りなくあります。私たちが次に何を創り出すのか、とても楽しみです。どんなものができるかはまだ言えません。季節の食材を見ながら作っていきます。ただ言えるのは、見た目も味も素晴らしいということです!」と語っています。
また、Caesars Entertainment ノーザン・ネバダ・エグゼクティブシェフ Ivano Centemeri氏によると、「私たちが大好きなトレンドは、小さめの料理とシェアできる料理です。良い肉は6オンス以上必要ないのです。タパスやテイスティング・メニューのように4~5種類の料理を用意し、お客様がいる場所やレストランのテーマを少し案内できるようにします」とのこと。
Harrah’s Cherokee Casino and Resort エグゼクティブシェフ Carter Alexander氏は「サステイナビリティに関して、多くの経験をしてきました。多くの団体が、サステイナビリティや環境に配慮するために私たちが何をしているのか、そしてそれをどのようにお客様に紹介すればいいのかを尋ねてきます。サステイナビリティは、私にとっても大きな原動力です。施設全体では、地元食材を使った料理を50%ほど提供しています。バンケットでは、地元食材を使うのはもっと簡単です。新しいGordon Ramsayのコンセプトは地元中心で、それができるのはとても幸運なことです。地元食材を使った料理は今トレンドになっていますが、私たちはずっとそうしてきました」と言います。
〜団体向けメニュー作りで、最も苦労する点は何ですか?〜
Louis Heckel氏は「食事内容や食に対する感受性の違いを考慮しながら、クリエイティブに、そして臨機応変に対応しなければなりません。グルテンフリー、ビーガン、魚菜食主義者、糖質制限の方にも喜んで対応します。特別な要望があった場合にも、見た目もよく、おいしい料理を提供しながら、迅速に対応する必要があります。例えば、大人数の料理を作るときは、小麦粉ではなく米粉を使うことが多いですね。米粉でとろみをつけると、料理全体がグルテンフリーになるのです。このような事前の計画により、多くの時間を節約し、サービスを効率化することができます。また、バターの代わりに香りをつけたオイルで野菜に味付けをするのも良い例です。乳製品を使わないメニューの要望が多いのですが、フレーバーオイルを使うことで、すべてのお客様が乳製品の摂取を心配することなくメニューを楽しむことができます」と語っています。
Carter Alexander氏は「特に南部では、自分の好きな食べ物のコンフォートゾーンから出たがりません。そのため、BBQや揚げ物が多いのです。私たちは、彼らに他の選択肢を伝えようとするのですが、時にはそれが難しいこともあります。でも、それはそれでいいのです。むしろ、苦痛というより、楽しいことなのかもしれません。ある年の大晦日のディナーにキジを出したり、フグを出したりしましたが、みんな喜んでくれました」
Leticia Nunez氏によると 「世界全体が需要の高い状態で、供給が足りない状態です。場合によっては、仕入れの関係でメニューを変更しなければならないこともあります。私たちシェフ全員にとって、調整が必要な状況です。」とのこと。
〜サプライチェーンに課題がある中、グループメニューはどのように工夫しているのでしょうか?〜
Ivano Centemeri氏は言います。「私の最初のメンターの一人が、『自分の作ったメニューが受け入れられているかを確認するには、お客様の食べ残しを見るのが一番だ』と教えてくれました。14オンスのリブロースを完食する人はもう多くありません。小さめのカット肉にローストした根菜を添えれば、それでも十分な食事になるのです。実際に肉の質を上げつつ、量を少なくしたのですから、双方にメリットがあります。」
「また、さまざまな肉のカットを扱ってきました。豚や牛にはたくさんの部位があり、ロースやヒレだけではありません。ショートリブが不足しているので、牛の頬肉を使おうとしたこともあります。すると、みんなびっくりしていましたね。要するに、その動物が与えてくれる様々な部位を無駄なく使うということです。育て、屠殺し、できる限り使うのがフェアだと思います。お客様は、多少の不足は受け入れてくれるようですし、(メニューの)変更も気にならないようです。喜ばれる解決策を提供することは、食材の専門知識を駆使することなのです。」
Carter Alexander氏は自社が様々な業者と協働しており、また自分達が住むノースカロライナ州ではニーズに応えてくれる農場が多々あり、地元の食材を多く調達することができるとも述べています。
〜パンデミックが始まってから、ハマっている(作るのも食べるのも)料理はありますか?〜
Louis Heckel氏は「家庭でも仕事でも、より経済的な牛肉のカットを使うことが多くなりました。今のところ、私のお気に入りはスイスステーキです。月に1、2回、目玉焼きと一緒に作っています。一晩マリネして、トマト、玉ねぎ、白ワインと一緒にインスタポットで調理しています。それにranchポテトを添えて食べると、みんなに大好評です。Harrah’s Waterfront Conference Centeでは、ウワミスジという肩甲骨の部位をたくさん使い、ここで解体して3〜4オンスのステーキにカットしています。柔らかくて風味豊かな肉質で、食費を最大限に節約できます。」
Leticia Nunez氏「もちろんです。世界中に共通しますが、家に集まり、家族のために料理をする時間が増えました。シングルマザーで17歳の息子はバスケットボールの選手なので、栄養面では厳しいですが、おいしいものを食べさせたいと考えています。そのため、ほとんどの食事に野菜、赤身の肉、魚介類、穀物、ナッツ類を使用しています。特に気に入っているのは、ファローとキヌアのパエリア、トーストしたクルミとスパイシーなポルトガル風大豆ソーセージです。朝食には、一晩ミルクに浸けたオーツ麦とアボカドトーストを出します。一般的に使われている商品が不足することが多いので、工夫が必要です。」
Carter Alexander氏「ここ南部では、すべてがボリューム満点で心地よいので、私たちは多くのcomfort-typeの食品(懐かしさ・安心感を与える料理)にこだわる傾向があります。私はサザン・フュージョンを多く手がけ、高級感を演出しています。私は何でも好きなので、特に気に入った料理があるわけではありません。」
〜あなたにとって、食事を出すことと(feeding)、料理を提供すること(providing)はどういうことですか?〜
Ivano Centemeri氏は「2つあります。私にとっては、思い出がおいしい料理を作り続けるための背中を押してくれます。料理は、料理学校ではなく、自分の遺伝子や文化に根ざしているものなのです。ゲストに対応する側としては、私の文化、味覚、食に関する知識を共有することで、ゲストに経験を提供することです。自分の心や記憶から生まれたものであれば、料理はより美味しくなるものです。単に仕事だからというだけでなく、思い出や文化から得た感覚をお客様に提供したいという気持ちで料理をしている人は、その人の気持ちが料理に反映されるのです。私はシェフだけでなく、すべての調理スタッフに『もし私があなたの家の食卓に座ったら、何を食べてほしいか?』と尋ねています。お客様に提供するものは記憶に残るものである必要があり、それが心からのものであれば最高です。」と語っています。
シェフにとっても、様々な食に対するリクエストやサステイナビリティへの対応は増えてきていますが、調理やメニューの工夫、楽しんでいただきたいという想いがお客様に喜んでいただく鍵となるのは、日本も海外も共通のようです。
出典:MPI NEWS BRIEF January 15, 2022
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